オンリーワンを目指せ
なないろレディースクリニック
院長
県内屈指の出産件数を誇るレディースクリニック
日本の少子化は医療現場にも確実に影を落としている。とりわけ産婦人科は減少傾向が顕著で、茨城県でも分娩数は過去15年で約25,000件から15,000件へと激減した。そんな逆風の中で、年間1,300件という県内屈指の出産件数を支えるクリニックがある。つくば市に拠点を構える、なないろレディースクリニックだ。
「病院らしくない病院をつくりたかった」。そう語るのは院長の黒田勇二。地域医療の文脈を超え、街づくりやライフスタイルにまで踏み込む姿勢が、このクリニックを特別な存在にしている。

らしくない病院を追求
黒田は愛媛大学医学部を卒業後、大学病院やリプロダクションセンターで経験を積んだ。だが、自らの理想を実現する場を模索するなかで、書店で手にしたつくばの街並み写真集に心を奪われた。黒田は語る。「写真集を眺めて不思議と、この街で新しい医療を始めたいと思うようになったんです。色々な方のご協力をいただいて2007年に開院しました。そのときに名付けたこの院には、希望と命の象徴という意味を込めて、虹=なないろ、ということばを選びました」
その後も彼は“病院らしくない病院”を追求。木造建築の温かみや間接照明の柔らかさ、コテージ風の個室。患者だけでなく、働くスタッフにも癒やしを与える空間づくりにこだわった。

出産を美しい思い出にしてほしい
19床の入院設備を備え、無痛分娩やフリースタイル分娩など、患者の希望に寄り添った出産スタイルを提供している、なないろレディースクリニック。最大の強みは「安心」と「自由」の両立だ。立ち会い出産に制限を設けず、全室個室で家族が同室できる環境を整備。さらにアロマやヘッドスパ、記念フォトやお祝い膳といったサービスまで揃え、「人生で一度きりの出産を思い出深く」という想いを実現している。
院内にはカフェや託児所、さらには美容クリニックやコミュニティホールまで併設。医療を超えた複合的な空間は、2023年にウッドデザイン賞 林野庁長官賞を受賞するなど高く評価されている。

オンリーワンを目指せ
黒田が目指すのは、単なる産婦人科ではない。クリニックを中心に、子育て世代や地域住民が自然に集まる“街のハブ”をつくることだ。ナナイロ小町構想、と題されたそのプロジェクトは、カフェや公園、コミュニティスペースを備えた総面積1万㎡の複合施設構想。小児科や美容クリニックとも連携し、子育てから美容、コミュニティ活動までを包括的に支援する。
一方で、働き方改革にも積極的だ。女性医師の復職支援や勤務日数の柔軟化、アルバイト医師の活用などを進め、持続可能な医療体制を築こうとしている。「医療の世界も、他と同じことをしていては選ばれません。オンリーワンを目指す挑戦心を大切にしてほしいです」
少子化の進行、産婦人科医の減少、地域医療の持続性。これらは社会全体の課題でもあるが、そのなかで、なないろレディースクリニックは「赤ちゃんを産む場所」という固定概念を清々しいほどに壊してしまう。
そんなクリニックを率いる黒田の目には、家族と地域が笑顔になるヒミツが眠っている気がしてならないのだ。
なないろレディースクリニック
院長
黒田 勇二