自分の手で 見つけることに 価値がある
合同会社AeroFlex
代表
筑波大学発・次世代モビリティスタートアップ企業
ドローン、ロボット、宇宙機器。どれもテクノロジー誌の見出しを飾る先端領域だが、現実には「研究成果をどう社会に落とし込むか」という“最後の一里”が立ちはだかる。筑波大学発ベンチャーの合同会社AeroFlexは、その橋渡しを使命とする企業だ。拠点は研究者や試験環境が豊富な茨城・つくば。地域のアカデミアと産業界をつなぎ、机上の理論を現場で動く機械へと変える存在である。
AeroFlexの事業は大きく二本柱。ひとつは工事現場や農業で使われるドローン・ロボットの開発、もうひとつは大学との共同研究を軸とした先端技術の探究である。主力製品は観測用ドローンや建設現場向けロボット。さらに将来的にはロケットエンジンの開発まで視野に入れている
設立は2022年12月と若いが、研究都市つくばという立地を生かし、大学の知を社会実装へとつなぐ橋渡し役を自認している。「研究は盛んでも、社会実装はまだ発展途上。だからこそ私たちが動く意味がある」と代表の堀井樹は熱を込める。

できることから始めた起業
堀井樹は1999年生まれの若き起業家だ。幼少期から鉄道車両に魅せられ、次世代モビリティの開発を志した。筑波大学在学中に始めた研究が社会で役立つ可能性を実感し、2021年には個人事業として活動を開始。翌年に法人化したという。
「最初は売上目標も決めず、できることから始めたかたちです。幸い、事業の要となる技術や製品を手元におくことができたため、大規模な資金調達に頼らず自己資金でスタートできました。」と、堀井は当時を冷静に振り返る。

強みは「総合力」
AeroFlexの強みは「総合力」だ。プロペラ付きの一般的なドローンにとどまらず、ヘリコプター型や飛行機型まで多様な機体を製作できる技術力を有する。また、地上走行ロボットやデータ解析技術にも領域を広げ、JAXAと火星探査機の共同開発にも携わるなど、最先端分野への挑戦も続く。研究から社会実装までを一貫して担う企業は国内でも珍しく、そこに同社の存在意義がある。
ターゲットは、省人化・省力化を急ぐ建設業や、世代交代で若手が増えつつある農業分野だ。「人の仕事を奪うのではなく、現場を支える技術でありたいです」と堀井は強調する。実際導入実績は北海道から長崎まで幅広い。
資金調達に依存しない経営姿勢も特徴的だ。大規模なプレゼンから始めるのではなく、実際の事業で成果を出し、その後に必要な資金を確保する。成功すれば新しいモデルを示せると自負する姿勢は、スタートアップ界の既成概念に一石を投じている。
自分の手で見つけることに価値がある
ドローン市場は法規制や社会的リスクの高さから普及が進みにくい一方で、国の規制緩和や産業ニーズの高まりが追い風になっているAeroFlex。業界全体が、すでに実用フェーズに近づいているのだという。
研究成果を社会に還元することにこだわり、机上の実験ではなく現場で役立つ技術を追求するAeroFlex。堀井が掲げる目標は明快だ。市場が求める製品を開発し、自社製品を増やしていくこと、そして大学との連携を深め、10年後・20年後を見据えた先行研究を続けること。研究と産業の「橋渡し役」として、つくばから全国へ、そして宇宙へと挑戦は広がる。
「インターネットでサクッと答えを見つけられるこの時代だからこそ、自分の手で見つけることに価値があると思うんです」と語る堀井。その手がつくりあげた研究結果が、社会にインパクトを与える日も近い。
合同会社AeroFlex
代表
堀井 樹
